事例企業のプロフィール
- 業種:建設業
- 事業規模:年商3億円・従業員12名
- 主な売掛先:当該業界で典型的な売掛先構成
- 取材時期:2026年Q1(2026年1月〜3月)
課題(Before)
元請からの支払サイト90日 / 下請への支払サイト30日のミスマッチで月商の20%(約500万円)が常時固定化
この状態のまま放置すれば、給与支払・取引先支払・税金納付の遅延につながり、最悪の場合は黒字倒産のリスクもある状態でした。同社の経営者は銀行融資・公的融資・ファクタリングの3つの選択肢を検討しました。
施策(Action)
3社間ファクタリング(手数料2.5%)を毎月の請求書に対し継続利用
選定の決め手は「申込から入金までのスピード」「手数料の総額」「自社事業との相性」の3点。複数社で相見積もりを取り、契約書の償還請求権なし(ノンリコース)を確認した上で契約しました。
結果(Result)
運転資金を圧縮しつつ手元キャッシュを月商1ヶ月分相当に維持。手数料負担は年間約180万円だが、銀行短期借入の審査落ちを回避できた価値が大きい
業種特性:建設業の支払サイト構造
建設業界では、公共工事の元請から下請への支払サイトが慣習的に60〜120日と長く設定
3社間ファクタリング選定の決め手
A社は当初、銀行短期借入の継続を望みましたが、メインバンクから「次回更新時は枠縮小」と通告され、代替策を検討。複数のファクタリング会社で相見積もりを取った結果、3社間ファクタリングを選定しました。決め手は次の3点:手数料の低さ(公共工事元請の信用力高で2.5%)、元請の協力姿勢(建設業界では3社間ファクタリングの認知度が比較的高い)、継続利用の前提(毎回の審査負荷を軽減)
他社が真似る際の注意点
A社の事例を建設業の他社が参考にする際、いくつかの注意点があります。第一に、3社間ファクタリングは元請の協力が前提のため、元請との信頼関係が浅い場合は2社間ファクタリングを選ばざるを得ず、手数料は5〜10%に上昇します。第二に、債権譲渡禁止特約が下請契約書に含まれている場合は事前確認が必要で、2020年改正民法でファクタリング自体は有効でも契約違反のリスクは残ります。第三に、継続利用が前提の運用設計が重要で、毎月単発で見積もりを取り直すと事務負担が増えるため、年間契約で手数料率を固定化するのが実務最適解です。これらを踏まえると、建設業向けには「中小企業活性化協議会」「建設業特化型ファクタリング会社」など業界特化の専門家への相談が有効です。
この事例から学べる教訓
公共工事元請の信用力を活用した3社間ファクタリングは、手数料が低くサイト長期化への王道対策。建設業向けファクタリングでも詳述。
同様の課題を抱える事業者は、まず資金繰り表で月次の入出金を可視化し、不足月を特定した上でファクタリング・銀行融資・公的支援の組合せを検討することを推奨します。