事例企業のプロフィール
- 業種:小売・卸売
- 事業規模:年商5,000万円
- 主な売掛先:当該業界で典型的な売掛先構成
- 取材時期:2026年Q1(2026年1月〜3月)
課題(Before)
コロナ禍で売上半減、政府系融資の据置期間終了で月次返済が再開。法人税滞納の状態で銀行追加融資は不可
この状態のまま放置すれば、給与支払・取引先支払・税金納付の遅延につながり、最悪の場合は黒字倒産のリスクもある状態でした。同社の経営者は銀行融資・公的融資・ファクタリングの3つの選択肢を検討しました。
施策(Action)
卸売部門の請求書(売掛先:大手スーパー)をビートレーディング2社間ファクタリングで月次活用、並行して税務署に納税猶予申請
選定の決め手は「申込から入金までのスピード」「手数料の総額」「自社事業との相性」の3点。複数社で相見積もりを取り、契約書の償還請求権なし(ノンリコース)を確認した上で契約しました。
結果(Result)
6ヶ月で滞納解消、12ヶ月で黒字化。再黒字化後は商工中金の経営改善資金にスイッチしファクタリング卒業
コロナ後復活フェーズ特有の資金問題
コロナ禍の政府系融資(ゼロゼロ融資)の据置期間終了に伴う返済再開と、業績未回復の二重苦。2024〜2026年にかけて全国の中小企業で広範囲に発生した「ポストコロナ問題」の典型。E社の状況:年商5,000万円のうち卸売部門が4割、コロナ禍で売上60%水準まで落ち込み政府系融資3,000万円借入、据置期間中は返済負担なしで推移したが2026年Q1から月額60万円の返済再開、法人税の納税猶予活用で累積滞納100万円
2社間ファクタリング選択と出口戦略
銀行追加融資は税金滞納のため即時不可。卸売部門の請求書(売掛先:大手スーパー)を対象とする2社間ファクタリング選定。出口戦略:第1期(0〜3ヶ月)ファクタリングで運転資金維持+税務署に分納相談、第2期(3〜6ヶ月)分納完済→納税証明書発行可能化、第3期(6〜12ヶ月)商工中金経営改善資金申込→融資実行、第4期(12ヶ月以降)ファクタリング卒業。ファクタリング総コスト120万円は再黒字化への必要投資と評価
同業者へのメッセージ:再建の心理的ハードル
E社経営者は再建後のインタビューで、最も困難だったのは「経営の判断ではなく心理的なハードル」と語っています。コロナ禍で売上が半減した状態で「税金滞納」「銀行融資断られ」「ファクタリングの手数料負担」と次々に問題が積み重なる中、廃業を考えた時期もあったとのこと。それでも再建できた要因は「専門家への早期相談」と「出口戦略の数値化」でした。中小企業活性化協議会への相談は無料で、税理士同伴で銀行・税務署との交渉を進めることで道筋が見え、12ヶ月後の商工中金融資実行という具体的な目標が見えたことで再建の意欲が維持できたとのこと。同様の状況にある経営者へのメッセージは「一人で抱え込まず、商工会議所・税理士・中小企業診断士など専門家に早期相談すること」です。
この事例から学べる教訓
税金滞納でも売掛先信用力でファクタリングは利用可能。出口戦略(銀行融資への復帰)を最初から設計することが重要。赤字でも使えるファクタリング参照。
同様の課題を抱える事業者は、まず資金繰り表で月次の入出金を可視化し、不足月を特定した上でファクタリング・銀行融資・公的支援の組合せを検討することを推奨します。